3「さよなら、三津君」

2003年4月、ある種の決意を持って臨んだ三度目のFCにはこれを投稿しました。
決意の内容は「票を取る」です。前にも書きましたが、私は(もちろんブランバーもですが)FCの読者を基本的に信頼していますから、言い訳を排して自分の力量がどのくらい通用するか知りたかったのです。
言い訳とは「受けないジャンルだから」「万人受けしない題材を選んだから」といった、票を取れない自分なりの理由です。
わかりやすい題材と舞台設定、奇抜さのないストーリーライン、三人称、絞り込んだ登場人物。誰でもきちんと批評できる作品を書いて勝負しようと思いました。……ちょっと違うものが出来たのは、それこそ私の力量です。テーマの「優」には評価の段階を選びましたが、こういうのは少なかったかも知れません
ですから、批評にはかなり痛いところをつかれました。一番多かったのは「雰囲気だけ」というものです。表現が簡潔すぎて不親切というきわめてもっともなものでした。全て見えている自分の視点ではなく、初めてこの世界に足を踏み入れる読者の視点で描写をするという至極当たり前の課題が浮かび上がりました。
得票は7。今までで最多の得票ながら、課題が浮き彫りになった参加でした。
さらに今回の思わぬ出来事を二つ。
一つはこのタイトルがさよなら小津先生のもじりじゃないのか、という指摘がいくつかあったことです。実は違いますが、そういう印象を与えたのは明らかに失敗でした(似たようなことは前にもありましたが)。
もう一つは、浅井さんの作品です。読者に全く媚びないといいますか、読んだ瞬間に知っている人がみんな浅井さんだと思った作品です。それできちんと一定の支持を受ける力は素晴らしいと思いました。
というわけで、結果はともかく、有意義な参加でした。